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日本における資産形成の状況

日本における資産形成の状況

90年代のバブル経済崩壊以降、日本では30年にわたり超低金利の状況が続いています。令和の時代となった現在、個人の資産形成に変化が生じているのかどうか確認してみましょう。

「貯蓄から投資へ」

「貯蓄から投資へ」というフレーズが使われ始めたのは、
2001年頃からです。当時の政府は「聖域なき構造改革」をスローガンに掲げており、

それを受けた金融庁が証券市場の構造改革として「貯蓄から投資へ」を使い始めました。

その後、個人の証券投資を促進するために税制改正を行い、

2003年4月1日から2008年3月31日まで(その後2013年12月31日まで延長)、配当所得(上場株式の配当金や投資信託の分配金)と上場株式等の譲渡所得(上場株式や投資信託の売買益)の税率を原則の20%から10%に軽減する証券税制の優遇措置など、投資に対する大幅減税が実施されました。

「貯蓄から投資へ」を掲げてから、約20年が経過する現在において、日本の証券投資は残念ながら浸透したとは言えません。

個人資産の総額は約1,400兆円(2000年度末)から約1,850兆円(2018年度末)に増えていますが、金融資産に対する現金・預金の割合は約54%(2000年度末)から約53%(2018年度末)でほぼ変化はありません。株式や投資信託の割合は約10%(2000年度末)から約15%(2018年度末)に増加していますが、貯蓄から投資へ資金が動いたとは言いづらい状況です

「貯蓄から資産形成へ」

証券投資を後押ししていた金融庁は、

「貯蓄から投資へ」を2016年から「貯蓄から資産形成へ」と表現を変えています。
そしてスローガンと共に、いくつかの投資非課税制度を積極的に打ち出していきます。

確定拠出年金(DC)

確定拠出年金は、企業や個人が定期的に掛金を拠出し、自身の選んだ投資信託等の運用成果を老後資金とする制度です。掛金や運用期間中の運用益には税制優遇制度が設けられています。

2001年に始まった日本の確定拠出年金制度(DC)は、景気低迷や低金利により確定給付型の企業年金(DB)を維持することが困難な状況を打開するための受け皿として誕生したものです。

確定拠出年金には、主として企業が拠出する「企業型」(DC)と個人が掛金を拠出する「個人型」(iDeCo、イデコ)がありますが、当初の確定拠出年金は「企業型」が一般的な印象でした。企業型の場合、従業員の同意という前提はあるものの、導入しようとする企業にとっては、確定給付型と比べて企業側の負担が少ないこともあり徐々に普及しています。

一方、主に個人事業主等を対象とした「個人型」は、加入対象者が限定的であり、企業型と比べ制度の改善も少なかったため、認知度・普及率共に低い状況です。
その後、普及促進のため「iDeCo」と個人型の愛称が決められ、

加入者の利便性向上を図るため、2017年1月に改正法により加入対象者拡大されました。
加入対象者は、従来の個人事業主等に加え、 企業年金を実施する企業の会社員や公務員専業主婦など

基本的には国民年金に加入する60歳未満のすべての人が利用できるようになりました。
また、毎月一定額の掛金というルールも緩和され、年額の掛金上限が設定されるようになりました。

NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)

2014年1月に開始したNISAは、改正などで


現在は20歳以上の人が毎年120万円までの新規資金で株式や株式投資信託等を購入すると、最長5年間の配当所得や譲渡所得が非課税で、


5年経過後の全額移管(ロールオーバー)できる制度です。


20歳未満はジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)で、


長期的な視点での老後資金形成を助成するためのつみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)が2018年1月に誕生しました。


つみたてNISAは、NISAとの併用は不可です。


毎年40万円まで新規資金で一定の投資信託を積立購入する場合、


最長20年間の分配金・譲渡益が非課税となります。


従来のNISAと異なり、株式は対象外となり、一括購入は認められないため、


長期・積立・分散投資という資産形成を継続するための制度になっています。

物価上昇に備えるために

金融広報中央委員会の調査によれば、

2019年の金融資産保有額の平均値は1,537万円となっています。

内訳では、預貯金657万円と生命保険358万円の割合が依然として高いようです。
近年は預貯金の減少傾向が顕著で、投資信託等の金融商品へ資産運用がシフトしているだけではなく、インフレによる物価上昇などの要因も考えられます。
消費税増税の影響もあわせると、今後、

現金やゼロ金利の預貯金の価値は目減りしていく一方で、

購買力を維持するために、現在の生活水準を維持するためには、

実質的な資産の増加を目指す必要と言えます!
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